@article{oai:tsuru.repo.nii.ac.jp:00000873, author = {モリネロ・ジェルボー, ヨアン and 上野, 貴彦}, issue = {97}, journal = {都留文科大学研究紀要, 都留文科大学研究紀要}, month = {Mar}, note = {要旨  ここ数十年の間に、グローバルな「中核」で農作業を行う移住労働者が増加している。世界エコロジー論(世界=生態論)の提唱者たちは、この現象が食料価格を安定的に抑制するためのシステム戦略であり、資本主義の蓄積段階を支える柱としての食料生産のあり方を規定していると指摘する。そこで本稿は、この理論を米州・欧州・アジア太平洋地域の国際比較から検証する。公式統計に基づく分析の結果、20世紀半ばから顕在化した構造的変化としての農業労働の「移民化」が、不可逆的かつ全球的に進んでいることが明らかになった。 訳者解題  本稿は、欧州における移民研究の主要拠点のひとつであるコミージャス教皇庁立大学移民研究所(スペイン・マドリード)のヨアン・モリネロ・ジェルボー常任研究員による、農業における外国人移住労働者の増加という先進国共通の趨勢に関するスペイン語論文(Molinero-Gerbeau, Y.( 2020). “La creciente dependencia de mano de obra migrante paratareas agrícolas en el centro global. Una perspectiva comparada.” Estudios Geográficos ,81(288).https://doi.org/10.3989/estgeogr.202046.026)の日本語訳である(日本語タイトルは訳者による)。農業分野は、日本における人口減少と少子高齢化を背景とした外国人労働者の受け入れをめぐる議論における主要領域をなす一方で、移住労働研究と農村・地域研究の接続は、日韓の比較研究(熊谷ほか 2022; 深川・水野編著 2022)が本格化してきたところであり、より広い視野に立った国際比較は今後の課題となっている。そのため、同テーマについて世界各国の公式統計を渉猟し、米州・欧州・アジア太平洋地域という広範な領域を見渡したグローバルな現状分析を行なっている本稿の学術的価値は高い。  加えて本稿は、資本主義と自然の関係をグローバルにとらえるためのパラダイムとして近年注目される「世界エコロジー(World-Ecology) 論(世界=生態論とも訳される)」の視角を導入している。世界エコロジー論は、グローバルな「不等価交換」に注目して世界的な資本主義の発展をとらえた I. ウォーラーステインの世界システム論を発展させつつ、その労働力への関心の偏りを自然への注目によって修正したものである。本稿はこれにのっとり、グローバルな「中心」に位置する国々がみな移住労働者への依存(農業労働の「移民化」)の度合いを高めていることを、食料価格を安定的に抑制するための政治闘争における戦略、そして資本蓄積を支える食料生産をめぐる重要な規定要因として、長期持続的な自然と資本主義の相互依存過程のなかにとらえている。20世紀半ばから顕在化した農業労働の「移民化」が、農業生産と人の移動の双方にとって周辺的な事例ではなく、むしろ農業と移民をめぐる不可逆的かつ全球的な構造的変化の核をなすという本稿の議論は、日本を含む東アジアにおける農業・移民・資本主義といったテーマについて考えるうえでも極めて示唆的である。  なお翻訳にあたり、日本語圏での議論の紹介に適さない原注をすべて取り除き、新たに補足すべき事項について訳注を加えている。この訳者解題と訳注の参考文献については、本稿末尾を参照されたい。}, pages = {227--255}, title = {グローバルな「中核」での農業における移住労働への依存増大―米州・欧州・アジア太平洋地域の国際比較から―}, year = {2023} }