@article{oai:tsuru.repo.nii.ac.jp:00000763, author = {田中, 実}, issue = {93}, journal = {都留文科大学研究紀要}, month = {Mar}, note = {【要旨】 『故郷』は中国・日本両国において、長く中学国語教科書に採用され、広く親しまれてきた魯迅の代表的作品の一つですが、実は、時代の認識の枠組み、思考の制度を超えた、すこぶる奥の深い、謎を秘めた難解な作品だったのです。 〈語り手〉の「私」は近代的な知識人でありながら、同時に日常生活では三十年前のことを二十年前と間違えるし、かつて美貌を誇っていた楊おばさんの気持ちも閏土の心の動きも理解出来ない、 矛盾した人物でしかありませんでした。こうしたことを〈機能としての語り手〉が鋭利にして的確にえぐり出して語っていたのです。〈語り手〉の「私」の三十年来、心の支えであった小英雄閏土は昔ながらの「偶像崇拝」者でした。ところが開明的な知識人の「私」も同様だったことに末尾、初めて衝撃的に気づくのです。その時です。「私」は「希望」とは自身が捉えている出来事の外部にあり、それが世界を動かすことに思い至ります。それによって「私」は希代の認識者となるのです。「鉄の部屋」を脱する鍵の秘密、鍵は内にあって扉は外から開きます。この作品はこの世界観認識の転換の鍵を渡してくれるのです。}, pages = {(67)--(84)}, title = {魯迅『故郷』の秘鑰─「鉄の部屋」の鍵は内にあって扉は外から開く─}, year = {2021} }